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M&Aの敵対的買収とは?メリットや防衛対策の例も解説

投稿日:2025年01月14日
M&Aの敵対的買収とは?メリットや防衛対策の例も解説

M&Aにおける敵対的買収とは、対象会社と合意せずに一方的に買収を進めることを指します。敵対的買収のメリットは、経営権や経営資源を手に入れられる点、事業規模を拡大できる点などです。
この記事では、敵対的買収のメリットや、仕掛けられた側がとりうる防衛策の例について解説します。

目次

M&Aの敵対的買収(敵対的TOB)とは

敵対的買収とは、相手側の取締役会や株主総会などの同意を得ずに買収を進めることです。そのため、同意なき買収と呼ばれることもあります。
ここから、敵対的買収(同意なき買収)の方法や、友好的買収との違いについて確認していきましょう。

敵対的買収する方法・スキーム

敵対的買収の方法・スキームの具体例として、TOB(株式公開買付け)があげられます。TOBとは、不特定かつ多数の株主に対して株式の売却を勧誘し、取引所外で買い付けることです。
一般的に敵対的買収を仕掛ける会社は、買収対象会社の株式の50%超を取得して議決権を行使するために、株式の買付期間・価格・買付予定数などを公開して、株主から株式を直接的に買い付けます。ただし、株主が売却に応じない場合は、TOBによる敵対的買収はできません。

敵対的買収と友好的買収の違い

敵対的買収と友好的買収の主な違いは、買収を仕掛けられる側のスタンスです。
敵対的買収では、買収に対して反対の姿勢をとる会社に対して一方的に買収を仕掛けます。それに対し、友好的買収では買収を仕掛ける側・仕掛けられた側が買収に対して合意しているため、双方で話し合いながらお互いにとって最善の方法を模索できる点が特徴です。

敵対的買収をするメリット

敵対的買収をするメリットは、主に以下のとおりです。

  • 経営権や経営資源を手に入れられる
  • 事業規模を拡大できる
  • 買収相手を改革できる

それぞれ解説します。

経営権や経営資源を手に入れられる

敵対的買収により、買収を仕掛けた側は対象会社の経営権や経営資源を手に入れられる点がメリットです。
敵対的買収を成功させて対象会社の経営権を握ることで、買収を仕掛けた側は対象会社とは異なる経営方針を推進できるようになります。また、対象会社が望んでいなくても従業員や設備、拠点などの経営資源を活用できるでしょう。

事業規模を拡大できる

敵対的買収をきっかけに、自社の事業拡大につなげられる点もメリットです。
会社を成長させるためには、ヒト・モノ・カネなどの経営資源(経営リソース)が欠かせません。そのため、敵対的買収で人材(ヒト)や設備(モノ)といった自社に不足している経営資源を手に入れられれば、買収を仕掛けた側は会社を成長させて事業規模を拡大できるでしょう。

買収相手を改革できる

買収相手を改革できることも、敵対的買収を選択するメリットです。経営権を取得して社内環境を見直したり経営体制を一新したりすれば、業務効率化や従業員のモチベーション向上などにつなげられる可能性があります。
なお、敵対的買収を仕掛けられる側にとっても、シナジー効果が発生する可能性がある点はメリットです。買収・M&Aでシナジー効果があれば、それぞれが単独で活動していたよりも大きな効果を生み出せます。

敵対的買収をするデメリット

敵対的買収をするデメリットとして、以下の点があげられます。

  • 悪い印象を与える可能性がある
  • コストがかかる
  • 買収前後に対象会社の従業員・顧客が離れやすい

それぞれ確認していきましょう。

悪い印象を与える可能性がある

友好的買収を実施する場合に比べて、関係者に悪い印象を与える可能性がある点が敵対的買収のデメリットとしてあげられます。
敵対的買収は相手の同意を得ずに進めるため、強引に買収を進める会社とのイメージがつくでしょう。その結果、買収相手だけでなく世間も、買収を仕掛けた会社やその会社が提供する商品・サービスに対してネガティブな印象を持つことがあります。

コストがかかる

敵対的買収を実施するには、コストがかかる点もデメリットです。
例えば、上場企業に対してTOBを用いて敵対的買収を試みる場合、一般的に本来の価格に2〜5割のプレミア価格を上乗せして募集します。そのため、買収する側と買収される側で話し合って価格を決める友好的買収と比べて、より多くの資金が必要になるでしょう。
買収自体に成功したとしても、買収後に十分な成果を生み出せなければ、多くの資金を無駄にします。

買収前後に対象会社の従業員・顧客が離れやすい

買収を発表したタイミングで、買収対象会社の従業員や、取引先・顧客が離れやすい点もデメリットです。
敵対的買収をきっかけに買収を仕掛ける会社に対して悪いイメージがつくと、買収対象会社で働く従業員が退職したり、取引先・顧客が取引を停止したりする可能性があります。その結果、経営資源が失われた買収対象会社の魅力は低下するでしょう。

敵対的買収をされる側がとりうる防衛策の例

ここまで、敵対的買収を仕掛ける側の視点から説明してきました。一方、敵対的買収をされる側も意図せず経営権を失うことや従業員のモチベーションを下げることなどを防ぐため、防衛策を検討しなければなりません。
防衛策の具体例は、以下のとおりです。

  • ポイズンピル
  • ゴールデンパラシュート
  • ホワイトナイト
  • パックマンディフェンス
  • マネジメント・バイアウト(MBO)

それぞれ解説します。

ポイズンピル

ポイズンピルとは、敵対的買収を仕掛ける側以外の株主に対して安い価格で株式を売却することにより、敵対的買収を実行するために必要な株式の購入を困難にする防衛策です。あらかじめ株主に付与していた新株予約権を行使することにより、実施できます。
ポイズンピルのデメリットは、株価が急落する可能性がある点です。また、ポイズンピルに反対する株主が差し止め請求すると、新株発行が無効になる場合があります。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、敵対的買収後に経営陣が解雇された際、高額な退職金が支払われるように会社と経営陣の間で契約しておく防衛策です。
敵対的買収を仕掛ける側は、想定しているよりも多くのコストを支払わなければならないため、買収をためらう可能性があります。ただし、資金力が潤沢な相手に対しては、十分な抑止力を期待できません。

ホワイトナイト

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けた側以外の友好的な会社・個人に、TOBや第三者割当増資などの手法で自社を買収してもらう防衛策です。結果的に買収はされますが、望まぬ相手に経営権を握られることを防げます。
ホワイトナイトを検討するデメリットは、買収自体は許容していることを明らかにすることでほかの買収者が出現する可能性がある点です。

パックマンディフェンス

パックマンディフェンスとは、敵対的買収を仕掛けられた側が反対に仕掛けた側を買収する防衛策です。
買収を仕掛けられた側は、仕掛けた側の株式の25%以上を取得することにより抑止できます。なぜなら、総株主の議決権の4分の1以上を株式会社に持たれている株主は、その会社に対する議決権を行使できないことが会社法第308条で定められているためです。
参考:e-Gov 法令検索「会社法 第三百八条」

マネジメント・バイアウト(MBO)

マネジメント・バイアウト(MBO)とは、買収を仕掛けられた会社の経営陣が先に自社の株式を買い取り、非上場化する防衛策です。
非上場企業に対してはTOBを実施できないため、敵対的買収のリスクを軽減できます。ただし、上場廃止することで今後市場での資金調達が困難になることに注意が必要です。
なお、MBOは敵対的買収だけでなく、事業承継対策としても用いられることがあります。

まとめ

敵対的買収とは、相手側の取締役会や株主総会などの同意を得ずに買収を進めることです。買収を検討している会社は、経営権や経営資源を手に入れることや、自社の事業拡大を図ることなどを目的に、敵対的買収を仕掛ける場合があります。
一方、敵対的買収を仕掛けられた側は、望まぬ相手からの買収を防ぐために、ポイズンピルやゴールデンパラシュートなどの防衛策を検討しなければなりません。また、敵対的買収を仕掛けられる前に、あらかじめ自社で積極的にM&A相手を探す方法もあります。
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