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資本参加とは?メリットや資本提携・業務提携との違いを解説

投稿日:2025年02月19日
資本参加とは?メリットや資本提携・業務提携との違いを解説

資本参加とは、株式を取得して資本を拠出することにより、相手の企業との関係を強化する手法のことです。メリットとして、資本参加する側には新たなビジネスチャンスを掴める点、受け入れる側には資金を得られる点があげられます。
一方、資本参加するには資金を用意しなければならない点がデメリットです。また、資本を受け入れる側は経営の自由度が下がることがデメリットとしてあげられます。そのため、資本参加を受け入れるにあたっては、あらかじめ出資比率などを考慮しなければなりません。
このコラムでは、資本参加のメリットやデメリット、他のM&A手法との違いを解説します。

目次

資本参加とは?

資本参加とは、ある企業が別の企業が発行している株式を取得することにより資本を拠出し、両者の関係を強化する手法のことです。資本は事業活動に必要な資金や、資産から負債を引いた額のことを指します。
資本参加は合弁会社の設立と並び、「広義のM&A」に分類されることが一般的です。それに対し、狭義のM&Aには買収や合併が該当します。

資本参加と他のM&A手法との違い

以下のM&A手法は、資本参加と混同しやすいです。

  • 資本提携
  • 業務提携
  • 株式譲渡・事業譲渡

それぞれの意味や、資本参加との違いについて解説します。

資本提携との違い

資本参加と資本提携の主な違いとして、誰が株式を取得するのかという点があげられます。
資本提携とは、複数の企業が技術・ノウハウや資金などを互いに提供することで、単独で業務を遂行するよりも効果的な成果を上げることを目指す手法です。一般的に、資本参加は一方が他方の株式を取得する手法、資本提携は双方で株式を持ち合う手法として区別されます。
なお、いずれも広義のM&Aにあたる手法です。

業務提携との違い

資本参加と業務提携の違いとして、資本提供の有無があげられます。
業務提携とは、複数の企業が互いに経営資源(リソース)を提供することにより、単独では達成できないゴールを目指す手法です。資本参加は資本を提供するのに対し、業務提携は資本を提供せず業務面での提携にとどまる点が異なります。また、業務提携はM&Aに分類しないことが一般的です。
なお、業務提携に資本を伴う場合は、資本業務提携と呼びます。

株式譲渡・事業譲渡との違い

資本参加と株式譲渡・事業譲渡の主な違いは、「目的」です。
株式譲渡とは、対象企業の株主が保有する株式を他社や他の人に譲渡することにより、経営権を渡す手法を指します。また、事業譲渡とは企業が営む事業の全部もしくは一部を他の企業に譲り渡すことです。
資本参加は主に対象企業との関係性を強化するために実施するのに対し、株式譲渡は主に経営権の取得・財務支援・シナジー効果の創出など、事業譲渡は事業に関わる権利の取得をすることを目的に実施します。
なお、株式譲渡や事業譲渡は「買収」に該当するため、狭義のM&Aに含まれる手法です。

資本参加するメリット

資本参加することの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 新たなビジネスチャンスを掴める
  • 対象企業との関係を強められる

各メリットを解説します。

新たなビジネスチャンスを掴める

資本参加することのメリットのひとつが、新たなビジネスチャンスを掴める点です。
新規事業に参入するにあたっては、行政の許可を得たり、多額の設備投資をしたりしなければならないことがあります。また、新規参入のハードルが低い事業でも、すでに競合企業が市場を支配していると新たにシェアを獲得することは難しいでしょう。
その点、関心のある事業を営む企業に資本参加し、その事業が成長すれば、自社が新たな分野に進出する機会を得られます。

対象企業との関係を強められる

資本参加することにより、対象企業との関係を強められる点もメリットです。
資本参加する企業は、対象企業の株式をいくつか手に入れられます。従来は取引上での関係しかなかった相手と、今後は資本上の付き合いが発生するため、結びつきが強化されるでしょう。
また、株主になることで、自社の意見が今まで以上に対象企業の経営判断を左右することになります。

資本参加するデメリット

資本参加することのデメリットは、以下のとおりです。

  • 出資にあたって資金を用意しなければならない
  • 期待していた効果を得られるとは限らない

各デメリットについて解説します。

出資にあたって資金を用意しなければならない

資本参加にあたって株式を調達する際に、ある程度の資金を用意しなければならない点がデメリットです。
とくに、1株あたりの株価が高い企業に出資する際は、高い買取価額を提示される可能性があります。手元に十分な資金がないにもかかわらず無理に出資を決断すると、のちに自社の資金繰りが悪化することにもなりかねません。

期待していた効果を得られるとは限らない

資本参加したからといって、期待していた効果を得られるとは限らない点もデメリットです。
資本参加により期待する主な効果として、シナジー効果があります。シナジー効果とは、複数の企業がさまざまな面で協力することにより、それぞれが単独で活動していたとき以上の効果を生み出すことです。
とくに「売上アップ」「コスト削減」など、どのようなシナジー効果を狙うのか明確にしないまま資本参加すると、何もプラスになることが生じない可能性があります。場合によっては、資本参加する前よりも両者の関係が悪化するなど、マイナスの効果が生じることもあるでしょう。
なお、両者が結びつくことにより、当初の状態よりも経営状況が悪化することをアナジー効果と呼びます。

資本参加を受け入れるメリット

資本参加を受け入れる側にも、以下のようなメリットがあります。

  • 資金を獲得できる
  • ノウハウを得て競争力を強化できる

それぞれ確認していきましょう。

資金を獲得できる

資本参加を受け入れた企業は、資金を獲得できる点がメリットです。
資本参加を受け入れる企業は、資本参加する企業に株式を発行するタイミングで資金を得られます。そのため、事業拡大のアイデアがあってもそれを推進するだけの資金力がない場合に、資本参加の受け入れが役に立つでしょう。
また、一定の独立性を保てる点もポイントです。経営権の取得を目的とする株式譲渡と異なり、資本参加では基本的に拒否権を得る比率までの株式を渡すことはありません。

ノウハウを得て競争力を強化できる

ノウハウを得て競争力を強化できることも、資本参加を受け入れるメリットとしてあげられます。
資本参加を受け入れる企業は、自社よりも規模の大きい企業の資本参加を受け入れることにより、ノウハウを手に入れ、競争力の強化や事業の成長につなげられるでしょう。対象事業が成長することは、資本参加する企業にとってもメリットがあるため、積極的に協力することが期待できます。

資本参加を受け入れるデメリット

資本参加を受け入れることのデメリットは、主に以下のとおりです。

  • 出資が打ち切られる可能性がある
  • 経営の自由度が下がる

それぞれ解説します。

出資が打ち切られる可能性がある

資本参加を受け入れても、途中で出資が打ち切られる可能性がある点がデメリットです。
一般的に、資本参加にあたっては、契約書に出資期限や契約解消条件などが盛り込まれます。そのため、期限が到来したタイミングで資本参加側が打ち切りを決めた場合や、契約解消条件に該当する事象が発生した場合は、資本参加を受け入れた側が株式を買い戻さなければなりません。
新たな買い手(出資元)を見つけられない場合は、突然のキャッシュアウトで資金繰りが苦しくなるでしょう。

経営の自由度が下がる

経営の自由度が下がることも、資本参加を受け入れることのデメリットです。
一般的に、株式譲渡のように資本参加で自社の経営権を取得されることや拒否権を行使されることはありません。ただし、少ない持株比率でも、資本参加する側がいくつか経営を左右する権利を得る可能性があります。
たとえば、取締役会設置会社では、1%以上の議決権か300個以上の議決権があれば、株主提案権を取得可能です(会社法第303条)。

資本参加を受け入れる際に確認すること

デメリットを考慮し、資本参加を受け入れる際には以下の点をあらかじめ確認しておきましょう。

  • 出資比率
  • 相手の信頼性
  • 期待できるシナジー効果

それぞれ解説します。

出資比率

経営の自由度に影響を与えるため、出資比率を考慮したうえで相手からの出資を受ける額を決めましょう。出資比率と権利の主な関係は、以下のとおりです。

  • 1株以上〜議事録閲覧権、株主代表訴訟など
  • 総株主の議決権の1%以上(300個以上)〜株主提案権、議案通知請求権など
  • 議決権または発行済株式総数の3%以上〜会計帳簿の閲覧請求権、役員解任請求権など
  • 議決権または発行済株式総数の10%以上〜解散請求権

たとえば、資本参加側が会計帳簿の閲覧請求権を行使することを懸念している場合は、出資比率が3%未満になるようにしなければなりません。

相手の信頼性

信頼できる相手か見極めることも、資本参加を受け入れるにあたって確認すべきポイントとしてあげられます。なぜなら、出資しても期限が到来したらすぐに撤退を決断する可能性があるためです。
また、信頼できない相手と資本関係を結んだ場合、のちにトラブルにつながることもあるでしょう。相手の信頼性を確認するため、すぐに資本参加を受け入れるのではなく、小さな取引や業務提携などから始める方法もあります。

期待できるシナジー効果

後悔しないために、資本参加する側も資本参加を受け入れる側も期待できるシナジー効果をあらかじめ考えておくことが大切です。資本参加をきっかけに期待できるシナジー効果には、売上の増加やコストの削減につながる「事業シナジー」や、アイデアやノウハウを共有して生産性の向上や業務効率化につなげる「組織シナジー」などがあります。
相手の強みや弱みなどを理解し、どのようなシナジー効果を期待できるのか把握しましょう。

まとめ

資本参加とは、ある企業が別の企業が発行している株式を取得して資本を拠出し、両者の関係を強化する手法です。資本参加する側には新たなビジネスチャンスを得るメリット、資本参加を受ける側には資金を得るメリットがあります。
資本参加は広義のM&Aに分類される手法です。M&Aには、経営権の取得を目的とする株式譲渡や、事業に関わる権利の取得を目的とする事業譲渡のように、狭義のM&Aに分類されるものもあります。いずれの手法を用いる場合も専門知識が求められるため、手続きを進める際は、専門家に相談することがポイントです。
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